本記事は Microsoft MVP (Most Valuable Professional) アワード受賞者によって執筆されました。

  河合浩之 / Microsoft MVP for PowerPoint

 前バージョンのPowerPoint 2010では、その “グラフィック機能”の素晴らしさに誰もが目を奪われたことでしょう。

アート効果で凝った画像の加工もワンタッチ。影、反射、光彩、3-D化も自由自在。箇条書きは瞬時にして美しくわかりやすいグラフィックに変身。写真の不要な背景は簡単に削除。スライド上でビデオやオーディオの編集も可能。インパクトのある画面切り替え効果でオーディエンスは瞬きさえできない状態に……などなど、このまま挙げ連ねれば年号が変わってしまうほど、PowerPoint 2010 はプレゼンの“見た目”をバージョンアップしてくれました。ここだけの話ですが、私、PowerPoint 2010を使い始めて以降、いくつかの画像編集ソフトをアンインストールしました。かの有名なフォトレタッチソフトも、めっきり起動しなくなりました。これは、「画像編集ソフトを使わなくても、PowerPoint 2010で簡単に画像編集ができる」ということではありません。「PowerPoint 2010 を使わないと見た目を良くできない」からです。

さて、では新しいバージョンである「PowerPoint 2013」は、いったいどのように進化したのでしょうか?

ややっ! みなさん、お気をつけください! 今度は目だけでなく、心まで奪われることになります! なぜなら、PowerPoint 2013は“プレゼンテーション機能”が劇的にパワーアップし、“超実践的”になっているからです。

本稿では、強力なプレゼンテーション機能を中心に、PowerPoint 2013 の新機能をレビューしていきます。“超実践的”とはいったいどういうことなのか?……

では、早速まいりましょう。 

1)強調したい部分を拡大できる「スライドズーム」機能

Death by PowerPoint――パワポ死。それは、伝わらないプレゼンに直面したオーディエンスが夢の世界へと逃げ込んでしまう現象のことです。この死因のトップが、「見えないスライド」。文字や図版が小さくて、内容が見づらいと、心はプレゼンからどんどん離れてしまいます。そんな状態を回避する有効な方法の一つが、「スライドをズームアップする」こと。これまではズームアップのために Windows の「拡大鏡」機能(Windowsキー+[+])や『ZoomIt』というフリーソフトを使う必要がありました。が、PowerPoint 2013 では、スライドをズームする機能がデフォルトで備わっています。それが「スライドズーム」機能。スライドショーの実行時に、3段階のズームアップが可能です。

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操作方法は、「+」キーを押すだけ。1回押せば1段階ズームされます。長めに押し続けると、一気に3段階目までズームインします。拡大された状態から、画面をマウスの左クリックでつかんで、表示されている部分を動かすことができます。なお、拡大時にアニメーション効果は反映されません。拡大された状態で「-」キーを押すと、1段階ずつズームアウトします。ズームを一気に解除するには、「+」以外のキーを押します。(リターンキーや「Esc」キー、スペースキーは避けたほうがいいでしょう) 

なお、スライドズームは、スライドショー中に画面左下に表示される「コントロールバー」からも実行できます。コントロールバーからのスライドズームでは、拡大範囲がハイライト表示され、指定の位置でクリックすると選択範囲がズームされます。

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ここで一つ、気をつけるべきポイント。スライドズーム機能は、細かい文字を拡大して見せるためのものではありません。スライドズームは、「強調したい部分を拡大する」という使い方をサポートするものです。「見えにくい箇所を見えるようにする」のではなく、「もっとわかりやすくする」ことを意識してスライドを設計する必要があります。

プレゼンをより印象的に、さらに伝わりやすくするために。スライドズームを計画的に活用してみましょう。 

2)見せたいスライドに一発ジャンプできる「スライド一覧」機能

例えば、プレゼンを「1→2→3→……」という順を追った流れで進めるのではなく、相手に合わせて進行の順序を自在に変えられたら、より伝わりやすいプレゼンになりそうですよね?例えば、プレゼンが終わって質問を受け付けるとき、説明に必要なスライドを手早く表示できるとスマートですよね?

そんな理想のプレゼン、PowerPoint 2013 の「スライド一覧」機能が実現します。スライド一覧機能によって、スライドショーの最中に「全スライドの一覧表示」そして「選択したスライドへのジャンプ」が可能になります。

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スライドを一覧表示させるには、スライドショー中に「-」キーを押せばOK。一覧のサムネイル画像の大きさは、右下のスライダーもしくは「+/-」キーで調整できます。サムネイル画像をクリックすると、そのスライドのスライドショーにジャンプします。

スライド一覧機能は、インタラクティブなプレゼンを実現し、本番のライブ感を演出してくれます。

3)プレゼンの小技を簡単にする「コントロールバー」

スライドショー実行中にマウス(ポインタ)を動かすと、画面左下に「コントロールバー」が現れます。コントロールバーからは、前述した「スライドズーム」「スライド一覧」の他、プレゼンを効果的に演出する“小技”を繰り出すことができます。

①    スライドを戻す

②    スライドを進める

③    レーザーポインター/ペンツール

④    スライド一覧

⑤    スライドズーム

⑥    その他:発表者ビューへの切り替え、ヘルプ表示など

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コントロールバーに配置されている機能は、ショートカットキーを使っても実行できます。が、実際のプレゼンにおいては、ショートカットを駆使していろんなツールを使う、ということはあまりしません。気持ちに余裕がなく、そこまで意識が至らないのです。そういった点で、このようにコントロールバーが表示されていると、「レーザーポインターで示してみるかな」「ここは拡大してみようかな」といったように、ツールを活用する“気づき”を与えてくれます。もっと伝わるプレゼンのために、どんどんコントロールバーを使ってみましょう。

●スライドショーで使えるショートカット

戻る:←

進む:→

レーザーポインター:ctrl + L

ペン:ctrl + P

画面を黒く:B

画面を白く:W

4)こんな画面切り替え効果が欲しかった!「ページカール」

PowerPoint 2010 から「画面切り替え効果」が大幅に刷新されました。PowerPoint 2013 でも強力な効果が追加されています。その代表格が「ページカール」。紙や本がめくれていく、あの感じです。

 ◆「本」がめくれるように画面を切り替え

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◆「紙」がめくれるように画面を切り替え

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パターンは2種類。紙が端っこからめくれるタイプと、本のページがめくれるタイプがあります。以前からこういった見せ方がしたかったんですよね。いままで1スライドに箇条書きで入れていたものを、本をめくるように1スライド=1メッセージで展開してみると、わかりやすく伝えられそうです。

5)本番さながらにプレゼンの練習ができる「発表者ビュー」

プレゼンの「練習」と「本番」の両方に役立つ機能が、「発表者ビュー」です。 

発表者ビュー(発表者ツール)は以前のバージョンにも備わっていましたが、これまではプロジェクターや外部モニタが接続されていないと表示できませんでした。つまり、PC1台のみでは発表者ビューを観ることができず、「プレゼン本番で初めて観る」ということも珍しくありませんでした。が、PowerPoint 2013 では、PC1台だけでも、標準画面と発表者ビュー画面を切り替えて表示できるようになりました。

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これによって何が起こるか?

そう、本番さながらにプレゼンの練習ができるようになるのです。発表者ビューで、ノート部分のシナリオを確認し、スライドズーム機能やスライド一覧機能、ペンやレーザーポインターモードを交えながら、プレゼンの本番とほぼ同じ状態で練習ができます。プレゼン練習のクオリティが格段にアップします。なお、プロジェクターや外部モニタをつないだ状態のとき、発表者ビューでスライド一覧を選んでも、スクリーンにスライド一覧は表示されません。スライドズーム機能は、発表者ビュー上で拡大したい箇所を選んでクリックすると、スクリーンではその部分のみが一発ズームされるようになります。 

以上、「超実践的プレゼンテーション機能」という切り口で PowerPoint 2013 を紹介させていただきました。プレゼンテーションソフトとしては当然のように使われている PowerPoint ですが、PowerPoint 2013 なら、マンネリ気味なプレゼンを脱却し、新鮮かつ斬新なプレゼンが可能となります。

とにかく一度、プレビュー版をお試しください。

そして、その革新的なプレゼンテーション機能に驚いてください。自分自身が驚くことから、相手の印象に残るプレゼンが生まれるはずです。