Exchange 2010 と 2013 または 2016 との混在環境における OWA 利用時の制限事項

こんにちは。Exchange サポートです。

今回は、オンプレミスの Exchange 2010/2013、2010/2016 の混在環境で OWA を利用する際の制限事項をご案内します。

 

- 概要

メールボックスが Exchange 2010 に残っているユーザーと、Exchange Server 2013 または Exchange Server 2016 に移動済みのユーザー間で予定表の共有をしている場合、移動済みのユーザーが OWA を利用して Exchange 2010 の予定表を参照すると、付与している権限が機能せず空き時間情報のみの利用に制限されます。

 

- 詳細

Exchange 2010/2016 の混在環境で以下のユーザーがいたとします。

 

 User01 : Exchange 2010 にメールボックスがある

 UserA  : Exchange 2016 にメールボックスがある

 

ここで、この2ユーザーは互いに自身の予定表に編集者権限 (Editor) を付与しています。

 

User01 が OWA で自身のメールボックスにログオンし、UserA の予定表を参照した際は付与されている編集者権限によりアクセスしますので UserA の予定の詳細が確認でき編集も可能です。

一方、UserA が同様に User01 の予定表を参照すると、件名は見ることができますが予定の詳細を確認することができません。(ダブルクリックしても開けません)

 

- 原因

参照者以上の権限を持つユーザーが、OWA を使用して他人の予定表を参照する際は、"GetCalendarFolderConfiguration" のリクエスト参照先メールボックスがあるサーバー (ここでは Exchange Server 2010) に実行されます。

しかしながら、Exchange Server 2010 は、このリクエストに対して HTTP Status Code 404 (NOT Found) を返すため GetCalendarFolderConfiguration の処理に失敗し予定表の構成 (アクセス権含む) が取得できません。

その後実行される空き時間情報を取得するリクエスト "GetUserAvailability" については成功することで、予定の [件名] [場所] のみが参照可能になります

 

上記の様に、Exchange 2010 の処理に問題がありますが、Exchange 2010 は既に延長サポート フェーズのためこの問題に対する修正は見送られており制限事項となります。

 

- 回避策

Outlook ではこの問題は発生しないため、混在環境下でも問題なく互いの予定表を付与された権限にて参照可能です。

 

-補足

その他にも、よくあるシナリオとして代理人アクセスによる運用を利用されているお客様も多いと思いますが、この代理人アクセス権限も制限されます。

例えば、User01 の代理人アクセス権として UserA に権限が付与されている場合、第3者 (User02 とします) が User01 に会議出席依頼を送信すると、UserA も受信しますが、UserA は OWA でこの会議出席依頼に応答することができず承諾も辞退もできません。

こちらについても、Outlook を利用すれば問題なく応答することができます。

 

以上のことから、Exchange 2010 と Exchange 2013 または 2016 との混在環境下で互いの予定を共有したり代理人アクセス権による運用を実施している場合でかつ OWA をメインで利用している場合は、そのような関係にあるメールボックスを両バージョンの Exchange Server に配置しないように移行作業を進めていただけますようお願いいたします。