Exchange 2010 SP2 RU4 での予定表およびタスク保持タグのサポート

原文の記事の投稿日: 2012 年 8 月 15 日 (水曜日)

メッセージング環境において準拠ポリシー要件を確実に満たすためには、メッセージング データを分類し、分類レベルに基づく期間の間保持する必要があります。

Exchange 2003 では、予定表およびタスク オブジェクトを含むメッセージング データを削除する手段として、メールボックス マネージャー (英語)が提供されていました。メールボックス マネージャーの機能は制限されていましたが、次のことを実行しました。

  • メールボックス マネージャーは、終了日、開始日、送信日、または最終変更日に関係なく、定期的としてタグが付けられた予定を無視し、削除しませんでした。
  • メールボックス マネージャーは完了としてマークされなかったタスクを無視し、削除しませんでした。

Exchange 2007 では、メールボックス マネージャーはメッセージング レコード管理 (MRM) に置き換えられました。管理フォルダー (Exchange 2007 の MRM 機能) を使用すると、お客様は [受信トレイ] や [削除済みアイテム] などの既定のフォルダーに保持設定を適用し、カスタム管理フォルダーを展開することもできました。ユーザーは、フォルダーごとに異なる保持設定を設定し、メッセージを異なる管理フォルダーに置くことでメッセージを分類しました。予定表およびタスク フォルダーについて、有効期限は次のようになります。

  • 非定期な予定表アイテムは、終了日に従って期限切れになります。定期的な予定表アイテムは、最後に発生する終了日に従って期限切れになります。終了日のない定期的な予定表アイテムは期限切れになりません。
  • 非定期なタスク:
    • 非定期なタスクは、メッセージ受信日(存在する場合) に従って期限切れになります。
    • 非定期なタスクにメッセージ受信日がない場合は、メッセージ作成日に従って期限切れになります。
    • 非定期なタスクにメッセージ受信日もメッセージ作成日もない場合は、期限切れになりません。
  • 定期的なタスクは、最後に発生する終了日に従って期限切れになります。定期的なタスクに終了日がない場合は、期限切れになりません。再生成するタスク (タスクの前のインスタンスが完了してから指定された時間が経過した後に再生成する定期的なタスク) は期限切れになりません。

Exchange 2010 のメッセージング レコード管理

Exchange 2010 では、メッセージング レコード管理 2.0 と保持ポリシーのフレームワークが導入されました。このフレームワークは、保持タグおよび保持ポリシーから構成されます。保持タグは、メッセージおよびフォルダーに保持設定を適用するために使用されます。保持ポリシーは、メールボックスに適用できる保持タグのグループです。この MRM 2.0 名前付け規則での "保持" の用語の使用は誤解を招くおそれがあります。保持タグは、メールボックスでアイテムの期限が切れるときの制御だけでなく、アイテムがアーカイブに移動されるときの制御にも使用されます。

Exchange 2010 RTM SP1 および SP2 から SP2 RU3 の MRM 2.0 では、保持タグの予定表およびタスク アイテムへの直接の割り当ても、予定表およびタスク フォルダーへの割り当てもサポートされません。お客様の多くはこの機能の必要性を訴えており、この機能を以前のバージョンの Exchange から削除されたものと見なしています。

結局、コンプライアンスの要件は満たす必要があります。予定表およびタスク アイテムを保持ポリシーのフレームワークから除外することは、データを管理するためのビジネスまたは法令遵守のポリシーを持つお客様が要件が満たされていることを保証できないことを意味します。

Exchange 2010 SP2 RU4 以降での予定表およびタスクのサポート

Exchange 2010 SP2 RU4 (英語) では、保持ポリシーに対する予定表およびタスク フォルダーのサポートが追加されました。

保持ポリシーを現在使用している場合、または使用する予定がある場合、このことはメッセージング環境に重要な意味を持ちます。

  1. Exchange 2010 SP2 RU4 から、管理者はコマンドラインを通じて予定表およびタスクの既定のフォルダーで使用するための保持タグを作成できます。サポートされる保持処理は、DeleteAndAllowRecovery、PermantlyDelete、MarkAsPastRetentionLimit、および MovetoArchiveです。
  2. アイテムの移動または削除に使用される既定のポリシー タグ (DPT) が 予定表およびタスク フォルダーに適用されるようになります。

予定表およびタスク アイテムの期限切れのしくみ

予定表およびタスク アイテムは、通常のメッセージ アイテムとは異なります。予定表またはタスク アイテムが保存されると、アイテムは特定のプロパティと共にスタンプを付けられます。自動保存イベントでメールボックス フォルダー アシスタント (MFA) と既定のプロパティの割り当ての間で衝突が発生しないようにするため、MFA は予定表およびタスク アイテムをすぐに処理せず、代わりにこの処理を 2 時間遅らせます (アイテムの最終変更時刻に基づきます。最終変更時刻がない場合は、作成時刻に基づきます)。

メッセージ アイテムと異なり、エンド ユーザーは予定表またはタスク フォルダーまたは予定表およびタスク アイテムのいずれかに異なる保持タグを割り当てることはできません。言い換えると、予定表およびタスク保持タグは管理者によってのみ制御されます。

予定表フォルダーの予定表アイテムの有効期限またはアーカイブへの移動の開始日を決定するには、次のロジックが使用されます。

  1. 非定期な予定表アイテムは、アイテムの終了日に基づいて期限切れ (またはアーカイブに移動) となります。
  2. 定期的な予定表アイテムは、最後に発生する終了日に基づいて期限切れ (またはアーカイブに移動) となります。終了日のない定期的な予定表アイテムは、期限切れにならず、アーカイブにも移動されません。
  3. 適切なアイテムの種類がない予定表フォルダー内でアイテムが見つかった場合、アイテムは無視されます (アイテムは破損している可能性があるため)。

タスク フォルダー内のタスク アイテムの有効期限またはアーカイブへの移動の開始日を決定するには、次のロジックが使用されます。

  1. 非定期なタスク:
    1. 非定期なタスクは、メッセージ受信日(存在する場合) に従って期限切れ (またはアーカイブに移動) となります。
    2. 非定期なタスクにメッセージ受信日がない場合は、メッセージ作成日に従って期限切れ (またはアーカイブに移動) となります。
    3. 非定期なタスクにメッセージ受信日もメッセージ作成日もない場合は、期限切れになることも、アーカイブに移動されることもありません。
  2. 定期的なタスクは、最後に発生する終了日に従って期限切れ (またはアーカイブに移動) となります。定期的なタスクに終了日がない場合は、期限切れにならず、アーカイブにも移動されません。
  3. 再生成するタスク(タスクの前のインスタンスが完了してから指定された時間が経過した後に再生成する定期的なタスク) は期限切れにならず、アーカイブにも移動されません。
  4. 適切なアイテムの種類がないタスク フォルダー内でアイテムが見つかった場合、アイテムは無視されます (アイテムは破損している可能性があるため)。

Exchange 2010 SP2 RU4 を展開する前に

Exchange 2010 SP2 RU4 での予定表およびタスクのサポートは、この更新プログラムのロールアップを特別に扱う必要があることを意味します。保持ポリシーを使用しない場合や、予定表およびタスク アイテムが DPT 設定に基づいて自動的にアーカイブに移動されたり削除されたりしても気にしない場合は、この投稿の残りは読み飛ばしてもかまいません。

しかしながら、この新しい機能が予定表およびタスク アイテムに対して持つ影響が懸念される場合は、次の一時的な回避方法を実行できます。

予定表およびタスク アイテムの期限が切れないようにする場合、Exchange 2010 SP2 RU4 に含まれているこの機能を無効にすることができます。次のレジストリ キーをメールボックス サーバーに追加します。

  • パス: HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchangeMailboxAssistants\Parameters
  • 名前: ELCAssistantCalendarTaskRetentionEnabled
  • 種類: DWORD
  • 値: 0= 予定表およびタスク フォルダーを処理しない
  • 値: 1 = 処理する (RU4 の既定)

予定表およびタスク フォルダーが DPT と異なる期間で期限切れになるようにする場合、次の手順を実行します。

  1. すべてのメールボックスの保存機能を有効にします。
  2. メールボックス サーバーに Exchange 2010 SP2 RU4 を適用します。
  3. 必要な保持設定と共に、RPT を予定表およびタスクフォルダーに作成します。
  4. ユーザーに変更内容を伝えます。
  5. 準備ができたら、メールボックスから保存機能を削除します。

最後に

長い間求められていたこの機能を製品に入れることができ、嬉しく思います。ご質問がありましたら、ぜひお知らせください。

Ross Smith IV
主席プログラム マネージャー
Exchange カスタマー エクスペリエンス

これはローカライズされたブログ投稿です。原文の記事は、「Calendar and Tasks Retention Tag Support in Exchange 2010 SP2 RU4」をご覧ください。