ビジネスプロダクティビティ製品チーム

Office 関連製品群を担当するプロダクト マネージャーが最新の情報をご紹介します

November, 2012

  • データセンターをシンガポールや香港に置く理由

    今週から朝晩も大分冷え込むようになり、地域によっては初雪も観測するなど、いよいよ本格的な冬がやってきました。

    そんな中、昨日は株式会社商事法務、西村あさひ法律事務所との共催によるシンポジウム「クラウドの法的課題とその解決策~知らないでは済まされない~」が開催され、多くのお客様にお越しいただき、2 時間たっぷりと最前線の有識者によるパネルディスカッションなどを聞いていただきました。前に「事業所グローバル展開時の IT インフラ・考 (2) ~ クラウドのグローバル展開における法的課題の検討」でもご紹介した通り、クラウドの利用についてはまださまざまな課題があることから採用を躊躇する企業もあるが、逆に過剰な法整備が IT 産業の空洞化を招く、安全は結局のところ程度問題で絶対的安全は存在しないため、経済的合理性の範囲内でどんどん取り組んでいかないと、エンドユーザー企業もビジネスの競争に勝ち抜いていけないという有識者からの声もあり、参加者の方も熱心にメモを取るなど熱いディスカッションの様子に聞き入っておられました。

    シンポジウムでも取り上げられた話題の一つとして、データセンターが海外にある場合に、データが手元になく、法制度も日本法でなくなる可能性があるため、なんとなく不安であるという声があるという話がありました。ちなみに、マイクロソフトでは日本を含む東アジアのお客様向けの Office 365 の提供をシンガポールと香港のデータセンターから行っています。これらの 2 拠点は、東アジアにおけるデータセンターの集積地「クラウドハブ」なのですが、なぜこれらの地域が「クラウドハブ」化しているのか、そして最近の報道を見て中国におけるビジネスのあり方について再検討している企業の方もいらっしゃるかもしれませんが、それにもかかわらず香港はなぜ「クラウドハブ」で居続けることができるのかについて以下に見ていきたいと思います。

     

    データセンターの場所を選択する際のシンガポールと香港のメリット

    シンガポールと香港は、どちらも小さな国及���行政区ですが、どちらも政府による積極的な誘致策、および自然環境や地理的な要因により、近年アジア向けのサービス提供におけるデータセンター拠点として投資が集中しつつあります。これは海外の大手クラウドベンダー企業の動向に限ったことではなく、富士通や NTT などの日本の大手 IT ベンダーや、ソニー、ヤマハ発動機、日本通運などのユーザー企業も、データセンターの拠点としてこの 2 箇所を選択しています。

    シンガポールは地震、台風、津波、火山活動などがほとんどない国と言われています。地震はこの 100 年の間一度も発生したことがなく、津波も 100 年ほどの間被害にあったという記録がないようです。台風も低緯度では発生せず、火山もない、という、自然災害に強い地理的特徴があります。また、シンガポールは東南アジアやインドとの通信ケーブルの多くが陸揚げされるハブでもあります。さらに、電力事情も東京より良いという事情があります。シンガポールでは、電力供給量の 4 割が余っており、データセンターに豊富な電力を供給することが可能となっています。東京も世界有数の電力安定供給地域でしたが、震災後の東京の電力需給を見てみると、電力事情にも差が出つつあります。

    香港も、有感地震は年に 1~2 回程度という、地震がたいへん少ない地域です。中国本土へのビジネスのゲートウェイとしての役割を果たしていることもあり、データセンターも香港に作られることが多いようです。1997 年にイギリスから中国に返還された後は法制度も中国になっているのではないかと誤解している方もいらっしゃいますが、香港は特別行政区であり、基本法に示された「一国二制度」の原則に基づき、中国本土とは異なる行政、法、経済制度で運用されています。中国では、たとえば「金盾」によるファイアーウォール機能 (Great Fire Wall of China)により、中国国内のインターネット上に出回っているありとあらゆる情報を検閲する可能性があります (注: 11/9 の中国国内から Google サービスへのアクセス制限が疑われる事象など) が、香港は適用対象外となっています。香港も APEC に加盟しており、個人データ (プライバシー)条例という形で包括的なデータ保護法を制定しています。この条例は、 EU データ保護指令などの国際的なプライバシー保護法に見られる原則と同様の原則に基づいており、データセンターに格納されているデータのプライバシーが守られるようになっています。このように、香港では中国本土とは異なる法制度で、欧米諸国並みのセキュリティ、プライバシーが担保される仕組みが整えられています。

    また、どちらも政府が積極的にデータセンターハブとしての売り込みを民間企業に行っていることも大きいと言われています。税制的優遇措置をはじめ、政府がセールスマンのように企業に積極的に提案を行い、企業の問題の解決を支援しています。そして、このような優遇措置をうけているクラウドベンダーは、同じサービスでもより安価に提供することができ、ユーザー企業にもその利益が還元されます。

    尚、日経コンピュータにも「各国のIT投資を狙うシンガポールと香港 アジアで「クラウドハブ」争奪戦(1)」「政府自ら顧客を誘致するシンガポールの強さ アジアで「クラウドハブ」争奪戦(2)」「「中国本土へのゲートウエイ」香港の引力 アジアで「クラウドハブ」争奪戦(3)」などの記事が連載されていましたので、参考にしてください。

    逆に日本国内のデータセンターについては、国内の市場規模は大きいものの、日本国内向けのみに限定されることが多く、海外向けのサービスはほとんど提供されていません。税制的な理由などにより、海外のユーザーに日本からサービスを提供することが難しい現状があるためです。災害についても、東日本大震災後に、日本は災害のリスクが大きい国であることを再認識された企業も多いと思います。シンポジウムにパネリストとして参加された日本航空のように、事業継続対策の観点からむしろ積極的にシンガポールや香港のデータセンターを使う (複数の国と地域に同じデータをバックアップしているサービスを利用する) ことを考えている企業も増えてきているようです。

     

    海外のデータセンターを利用する際のリスクをどう考えるか

    では、海外のデータセンターを利用する際に日本法でない法律に基づいて運用されたり、物理的に日本国内にサーバーがない、自社のコンプライアンス遵守に支障をきたすのではないかという不安に対してどのように考えるべきでしょうか。これに対する考え方については、ユーザー企業が規制業種にあたるかどうかによっても異なってきますが、たとえば海外に事業展開していて海外拠点でデータを保存している企業であれば、海外のデータセンターを使うことと同等のリスクを背負っていると考えることができます。日本の大手ユーザー企業でも、すでに積極的にシンガポールや香港のデータセンターを活用しているところが出始めてきているので、自身の業種の規制などとリスクをきちんと照らし合わせれば、海外データセンターも利用できるという結論を得られるという事例となっています。

    また、何かあった時にやり取りの対応を迫られるのは、データセンター事業者自体というよりはそれを利用してサービスを提供しているクラウドベンダーであるため、サービスを提供しているクラウドベンダーが日本国内できちんと対応してくれる体制が整っているかどうかというところをチェックすることが重要となってきます。たとえば、サービス利用契約の管轄裁判所が日本の裁判所になっていることなどが安心材料となります。

    海外データセンターの利用にあたってよく取り上げられるリスクには以下のような項目があります。これらは「事業所グローバル展開時の IT インフラ・考 (2) ~ クラウドのグローバル展開における法的課題の検討」で検討を行っていますのでご参照ください。

    • 米国愛国者法への対応
    • 個人情報保護法への対応
    • 輸出管理規制への対応
    • 準拠法と管轄裁判所

     

    今までは、海外のデータセンター利用のリスクが強調されすぎていた側面があります。しかし事業継続対策などを考えていくにあたり、この機会に海外拠点のデータセンターをむしろ積極的に利用していき、ビジネスを有利に進めることを考えてもよいかもしれません。日本マイクロソフトでも、グローバルなクラウドサービス提供者として、お客様がクラウドサービスを検討する際のリスクを正しく評価できるように、必要な情報を提供していけるよう日本国内でも継続的に体制を強化しています。検討に当たりご不明な点がございましたら、担当営業を通じてお問い合わせいただけましたら、できる限りの回答をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

  • Office 365 と Windows Azure が中国国内から購入可能になります

    本日は、11/1 に発表された中国国内での Office 365 と Windows Azure のサービス利用開始予定についてお知らせします。中国国内の企業向けには、マイクロソフトはいままでこれらのサービスを提供していませんでしたが、このたび、以下の 2 通りの方法で中国国内向けにサービスを提供する見通しとなりました。

    • 中国企業 21Vianet によるサービス提供: マイクロソフトは、11/1 に中国における最大のデータセンタ事業者である21Vianet (世紀互聯)と契約を結び、マイクロソフトのテクノロジーを 21Vianet にライセンスすることを決定しました。21Vianet が中国国内で Office 365 と Windows Azure のオペレーションを行いサービスを提供する予定です。また、マイクロソフトでは21Vianetがデータセンターを置く上海市とも覚書を結びました。このオプションは、中国国内にデータを保管する中国企業によるサービス提供を好む企業向けのニーズを満たします。この場合、サービスは中国国内の法令に従って運用されます。
    • マイクロソフトによるサービス提供: マイクロソフト自身によって管理され提供されるサービスを好む中国企業には、Office 365 をシンガポールと香港のデータセンターから提供します。この場合、サービスはシンガポールや香港の法律に従って運用されます。(※ 中国国内と香港は法令が異なります。この解説は次回のトピックにする予定です)

     上海市も、サービスが利用可能になった際には Office 365 と Windows Azure を 21Vianet から利用すると発表しています。

    中国国内からのパブリック クラウド サービスの提供は、中国企業向けのもので、日本企業のお客様は従来通り日本でサービスを購入して中国国内のユーザーにライセンスを割り当てて利用する方法をとっていただくことができます。今回の発表は、マイクロソフトが今後も中国におけるサービス提供とビジネスにコミットしていくことを表しています。

  • 次期 Lync のご紹介 

    今回は、他の Office ファミリーと共に先日 RTM の情報も発表され、現在評価版も公開中の新しい Lync についてご紹介します。
    ご存知の方も多いかと思いますが、 Lync はマイクロソフトのプロダクティビティプラットフォームの中でも企業で発生するすべてのコミュニケーションを担う製品です。 

    一つ前のバージョンである Lync 2010 は 2010年 12月にリリースされており、マイクロソフトのプロダクティビティ製品群の中でも比較的新しい製品と認識されている方も多いかと思いますが、実はコミュニケーション製品としては Office Communication Server 2007/ 2007 R2、以前は  Live Communication Server 2005 と今回リリースされる予定の Lync 2013 で 4世代目となります。また、更にそれ以前は Windows Server 内の Real Time Communication 技術として Microsoft が継続して投資を続け、成熟・進化したテクノロジーになります。

    プレゼンスとチャット、オンライン会議(Lync 会議)に加え、企業の内外線の電話インフラをも統合するエンタープライズボイス(VoIP 外線通話)機能を備え、いつでも、誰とでも、どこからでも利用可能で、人と人とのコミュニケーションを強化する Lync の新しいバージョンの進化のポイントについてまとめました。

     

    ポイント 1 : 選択肢も広がり、更に使い易く進化した統合クライアント

    在宅勤務やフリーアドレスに代表されるように、企業ユーザーが働く環境は今、時代と共に急激に変化、進化しユーザーのニーズも多様化しています。それに伴いデバイスも多様化し、従来の PC のみならずタブレットやスマートフォンなど働く場所やシーンに合わせて、複数のデバイスを選択して利用しているかと思います。

    コミュニケーションの基盤である Lync も、こうした背景を踏まえ以下の様な各デバイス、使い方に最適化されたクライアントを複数用意し、提供致します。

     

    ■ 簡易クライアント Lync 2013 Basic
     (提供予定)

    ■ PC 用統合クライアント Lync 2013

            

     

     

      

    ■ Windows 8 に最適化された専用の Lync


     

    ■ 各デバイスに最適化された Lync Mobile クライアント(こちらの画面は開発中のものです)

     

     

     

    また、今回から新たに Lync Web App という名称でブラウザからの Lync 会議へのアクセスが可能となりました。
    従来、外部ユーザーや Lync クライアントがインストールされていない端末から Lync 会議に参加してすべての機能を活用したい場合、会議参加用の専用クライアントのインストールが必須でしたが、今後はお使いの HTML5 ベースのブラウザから、統合クライアントの Lync 2013 とほぼ変わらない機能、使用感で Lync 会議への参加が可能となりました。

    この様に、 Lync の持つ優れたユーザーインターフェースを多様なプラットフォーム、デバイスを通じて日々のコミュニケーションの中心手段として利用することで、ユーザーはいつでも、どこにいても高い生産性を維持することが可能です。

     

    ポイント 2 : 「コミュニケーションの質」の向上、 Office 製品との連携強化

    様々なシーンで使い分けが可能な統合クライアントの種類や使い易さだけではなく、最も肝心な「コミュニケーションの質」の部分も大きく進化しました。

    特に Lync 会議は、ユーザーの皆様から要望が強かった複数拠点での顔写真・動画の表示(ギャラリービュー)も高解像度を維持したまま可能になり、従来に増してビジュアルコミュニケーションを中心に強化されています。
    この強化された Lync 会議を上手に活用いただくことで、世界中どこにいてもお互いのジェスチャーや表情の変化などを確認しながら、より face-to-face に近い形でのコミュニケーションが可能となります。

    また、業界標準の規格(H.264 SVC *)への対応による動画の表現力の向上や、統合クライアント全体に言えることですが直観的な UI の向上などの足回りの部分も強化され、より美しく、より便利にオンラインでの会議を行えます。

    *) ITU(国際電気通信連合)によって勧告された、動画データ圧縮符号化方式の標準の一つ。
     H.264 SVC では映像を複数の品質に分けて符号化し複数のチャンネルで送受信を行う事で、ネットワークの問題などで帯域が不安定な場面でも、受信側が低帯域のデータを選択し動画の表現を続ける事が可能なため、会議を継続することができる。

    ユーザーは、従来通り Active Directory のユーザー認証をベースに「人」を起点にコンタクトの開始が可能です。こうしたコミュニケーションは、Lync のリアルタイムなコミュニケーションに欠かせない存在であるコンタクトカード(以下イメージ参照)と呼ばれる連絡先相手の高解像度写真、プレゼンス情報、ステータスその他詳細を表示する仕組みで開始されます。次期 Lync で更に進化したコンタクトカードは、内部 / 外部のソーシャルネットワーク(例えばSharePoint、 LinkedIn、 Facebook )とも接続し、情報を収集することが可能です。

    ■ コンタクトカード

     

    Office アプリケーションとの連携も従来に増して強化されており、日々利用するOutlook, SharePoint をはじめその他マイクロソフトアプリケーションから、コンタクトカードを表示しすぐに直接「1 クリックで」コミュニケーションを開始する事が出来ます。 Project や Visio からもこうした連携が可能となり、ますます幅広くアプリケーションの利用から思考の中断なく他の人とのコミュニケーションが自然に開始できることで、ストレスなく効率的に仕事を進める事が可能です。
    また、 Lync 会議では PowerPoint アニメーションが更にリッチになるなど、共有されるコンテンツの再現性が大きく向上しています。更に、議事録ノートを取ったり、会議のレコーディングを行うために、 OneNote を Lync から直接利用することができます。(以下イメージ参照)

    ■ Lync 会議の OneNote 連携 

          

    ホワイトボードのメモや共有スライドも同様に OneNote への直接保存が可能になるなど、 Lync 会議の準備、デジタル議事録作成など、重要なツールとしてシームレスに利用が可能になります。

     

    ポイント 3 : ユーザーのニーズに応じた展開が可能に

    ご利用いただくユーザーのニーズに応じて、今まで以上に柔軟な展開、構成が可能となります。
    これまでの自社設置(オンプレミス)と、Office 365 の Lync Online を利用するオンラインサービスに加え、オンプレミス、オンラインでユーザーを分割してご利用いただく「ハイブリッド」構成が新たに利用可能となります。これにより、例えば本社や自国内のユーザーをオンプレミス、拠点や海外ユーザーをオンライン、など展開の状況に応じて構成を選択いただけます。

    また、従来通り外部組織の Lync や主要なパブリック IM サービスとのフェデレーション構成を設定することで、プレゼンスの確認や IM、音声など接続するサービスに応じた連携が可能です。今回から、先日買収の完了した Skype も接続サービスの対象となり、世界中の数億人の Skype ユーザーとのコミュニケーションが可能となる予定です。

     

    まとめ

    以上、ここまでポイントをかいつまんでご紹介致しましたが、次期 Lync の進化はこれだけではなく、 VDI 対応やエンタープライズボイスの更なる強化、その他様々な新機能や機能改善がございます。
    これら詳細情報は今後製品サイトTechNet ライブラリでも順次公開してまいりますので、是非ご確認ください。

  • 新しい Office 365 Preview を動画で理解しよう

    皆様はもう 2012 年 7 月に登場した次期 Office カスタマープレビューを触ってみましたか?今回は、次期 Office に含まれるクラウド サービスの部分をわかりやすく紹介する動画を紹介します。この動画では、SharePointの新しいソーシャル機能、ファイルのドラッグ&ドロップによるアップロード、Outlookと連携するサイトメールボックス、そして複数人のHDビデオを見ながらプレゼンテーションができる新しい Lync について紹介します。また、同様の機能はオンプレミス版でも利用可能です。

    ※ 動画はカスタマープレビューに基づいています。紹介している機能は今後正式リリースまでに変更になる可能性があります。

     

    その他、Word 2013, Excel 2013, PowerPoint 2013, OneNote 2013 などの新しいクライアント アプリケーションについても動画で分かりやすく特長をご紹介しています。詳しくは、以下のリンクをご覧ください。