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電子メールがもたらすコミュニケーション ロス
前回もご紹介の通り、電子メールはもはやビジネス コミュニケーションの標準ツールとなっています。しかし、電子メールの利用が増えるほど、各個人のメッセージ管理は大変困難になります。1 日に受け取るメールの量が数百通にも上るようになると、メールの処理だけで膨大な時間を要することになります。メールは手紙と同じで、その性質上、開封してみないと内容がわかりません。受け取ったメールの要不要を確認するには、開封してみるしかないのです。もちろん、送り主や送り先、件名などである程度アタリはつけられますが確実な仕分けは不可能です。
電子メールは相手の行動を邪魔しないため、非常に気軽に呼びかけられるツールです。それがゆえに、顧客からの重要な用件と、同僚や友人からのプライベートな呼びかけが区別なく紛れ込んでいます。また、電話なら質疑応答の繰り返しですぐに解決するような問題までメールが使われることも多く、ほんの数人により延々と続けられるメールのやり取り (チェーン メール) を、大多数のほぼ無関係のユーザーが受け取り続けなければならないこともあります。さらに、文章は会話よりもニュアンスが伝わりづらく誤解を招くことがありますし、やりとりの初期の段階で顧客など外部のユーザーが含まれていたことが失念され社内コミュニケーションが外部に漏れてしまうような事態も起きています。そしてこれらの膨大なメッセージの山から重要な情報を見つけ出すのは相当に困難です。
これは、メールの手軽さと、非同期ツールでありリアル タイムなコミュニケーションに向いていないという特質から生まれる非効率性です。したがって、メールよりもさらに手軽でリアル タイムなコミュニケーション ツールがあれば回避できます。
Microsoft Lyncの IM はリアル タイムなメモ交換ツール
企業内でのインスタント メッセージング (IM) 導入に懐疑的な方もまだいらっしゃるかもしれません。しかしすでに多くのユーザーが Windows Live Messenger などのインターネット上のパブリック IM ツールをプライベートで使っており、企業内に導入し���も違和感なく使い始めることができるでしょう。そしてパブリック IM とは違い、Lync の IM はガバナンスの効いたツールであり、前述のようなコミュニケーションの無駄やリスクをなくす切り札となります。
電子メールが手紙だとすれば、IM はメモのようなものと考えていただければわかりやすいでしょう。IM でメッセージを送った時、相手が席にいなければそれはまさに伝言メモとして、相手の PC 上にポップアップされた Lync 2010 クライアント上に表示されます。IM でメッセージを送った時、相手が席にいたならば、メモのすばやいやり取りによってリアル タイムな会話ができます。メールとは違ってすぐに相手に届きますし、電話とは違ってデバイスに縛り付けられることはありません。チェーン メールになりがちな、細かな質問のやり取りも、IM なら簡単に解決できます。
Lync の IM では、テキストだけでなく、添付ファイルの送受信もできます。メールを使わずにちょっとしたファイルを相手に送ろうとすると、どこかの共有フォルダーにそのファイルを保存し、フォルダーのアドレスを伝えるといったいくつかのステップを踏まなければなりません。Lync の IM ならば、メッセージ入力エリアにファイルをドラッグ アンド ドロップするだけで、そのファイルが相手の IM に届きます。さらに、マイクを使った音声や Web カメラを使ったビデオ映像の通信や、アプリケーションやデスクトップの共有ができますので、相手の声色や表情をうかがいながら、複数人での密なコミュニケーションを図ることができます。そしてこれらのさまざまなコミュニケーション手段は、1 つの Lync 2010 クライアント上で、スムーズに切り替えることができます。たとえば最初はテキストでの IM を行い、必要に応じて音声やビデオを呼び出し、他のユーザーを招待し、自分の Excel を他のユーザーにも操作してもらいながらディスカッションを深める、といったことがすばやくワンクリックでできるのです。この今までにないコミュニケーション方法は、ユーザーの生産性を大幅に向上し、コミュニケーション ロスのリスクや移動などにかかるコストを大幅に削減します。
相手の状態を知ることから始まるスムーズなコミュニケーション
ほんの十数年前のオフィスでは、情報の多くは書類や回覧などの形で物理的な移動を伴うか、固定電話や直接の会話を通じた音声として伝達されていました。またコミュニケーションの効率を向上するためには自然と、よくコラボレーションするメンバーや組織どうしを近い席に配置することになりました。このような環境の場合、オフィス ワーカーは自席または指定された場所にいなければ、情報を受け取ることができません。書類にせよ固定電話にせよ、物理的なアドレス、つまり場所に対して情報が送られてくるため、「そこにいる」ことが重要だったのです。
しかし近年は、ビジネスのスピード化とグローバル化により、物理的な近さを確保できない相手とのコラボレーションが必要になっています。コラボレーションの範囲は社内だけでなく、社外のパートナーや時には顧客にまで広がり、さらに国内にとどまらずグローバルな連携も増えてきています。また携帯電話や電子メール、モバイル PC の普及により、場所の固定をしなくてもよいコミュニケーション手段を入手できるようになりました。この結果、もはや自席にいることそのものはあまり重要ではなくなりつつあり、オフィス内に入るものの他のフロアや会議室などで、あるいは出先で仕事をする機会は頻度を増しています。さらに、設備コストの削減やより機動的なコラボレーションを目的として、特に営業マンを対象としたフリー アドレス化 (固定の席を持たない) を進める企業も近年増えてきています。
このように、コラボレーションから場所の制約条件が解放されるようになった反面、相手の状態の把握が難しいという別の問題が発生することになりました。かつてのようにコラボレーション相手が近くに座っているのであれば、ちょっと周りを見渡せば相手がどのような状況に置かれているかがわかりますが、見えない相手の状況を把握するには、本人に直接状況を確認する以外にありません。電話をかけてみて大丈夫ならそのまま用事を済ませ、だめならまたかけ直すことになります。かけ直す方も手間ですが、かけられる方も作業をたびたび邪魔され、生産性が大きく低下します。かといって電子メールでは、すぐに返事が来るかどうかわかりませんし、もし返事が来なければ、その理由が、席にいないのか、メールを見落としているのか、見たうえで忙しくて返事していないのか、まったく関心がないのか、は知りようがありません。
Microsoft Lync がいつでもどこでもプレゼンスを把握
Lync 2010 による IM/プレゼンス機能がこのようなコラボレーション スタイルの変化を吸収します。さまざまな状態に置かれている相手と最も適切なコミュニケーションをとるために、このツールが最初のフィルターの役割を果たしてくれます。
Lync 2010 では、青、黄、赤のプレゼンス アイコンで、その人の作業状態を表示します。Lync 2010 が動作しているデバイス、たとえば PC を操作中であれば、プレゼンス アイコンは青で表示されます。一定時間 (既定では 5 分) PC の操作を中断するとプレゼンス アイコンは黄色に変わり退席中となります。また Outlook の予定表とも連動しており会議などの予定が設定されていればプレゼンス アイコンは赤くなります。これらのアイコンは手動で変更することも可能です。またアイコンだけでなく、Active Directory や SharePoint から取得した顔写真を表示させることができるため、同姓同名の人や顔と名前が一致しない人の判別も簡単です。デバイスが接続に使用している IP アドレスを判断して居場所を表示したり、チームや特定のワーク グループのメンバーに Outlook 予定表のタイトルもプレゼンス情報に含めて表示したりするようなこともできます。さらに、連絡先の情報は Outlook と連携した統合連絡先ストアに格納し利用することができますが、SharePoint が利用できる環境では SharePoint の人の検索機能を利用したスキル検索もできるため、相手の名前がわからなくても、キーワードだけで新しいコンタクトを見つけることもできます。これらの機能により、目の前にいない相手と、お互いに無駄のない、非常にスムーズなコミュニケーションを開始することができます。
たとえば、Lync という製品に関して知りたいことがある場合、まず Lync 2010 でキーワード検索します。すると Lync の製品担当者らしき、一度社内説明会で見かけたことのある人物がヒットしますが、ここでプレゼンス情報を確認します。ここでもしプレゼンス アイコンが緑で、居場所がオフィスなら、PC での作業中であり比較的気兼ねなくアプローチできますので、IM で呼びかけるなり、込み入った質問ならいきなり電話してしまってもいいでしょう。もしアイコンが黄色なら、ちょっとその場を離れているだけの可能性が高いのでメールを打つなりしばらく待つべきでしょうし、アイコンが赤で会議中の場合も、重要な案件で急ぎ回答が必要なら、用件を IM で呼びかけて反応をみてもいいでしょう。Lync 製品担当者も、簡単に回答できそうなことなら会議には参加しながら IM で答えられますし、それが難しければ、いったん会議を離れて電話するなり、他のメンバーにチャットに参加してもらって引き継いでもらうこともできます。このように IM/プレゼンスをコミュニケーションの入り口に据えることで、相手の状況に合わせて最適なコミュニケーション手段を、最短の時間で、確実に選択できるようになります。呼びかける側だけでなく、呼び出される側も含め、双方でのコミュニケーション効率が向上するのです。またこのプレゼンス アイコンは、IM ツールである Communicator だけでなく、メール クライアントの Outlook や、企業内情報ポータルの SharePoint 上でも表示されます。メールの送信主、共有ドキュメントの作成者や更新者など、情報を交換する相手のプレゼンスが一目でわかりますので、いちいちツールを切り替えることなく、その情報に関するコミュニケーションをその場ですばやく最適な方法で始めることができます。